交通事故治療の通院慰謝料って?

交通事故治療の通院慰謝料って?

通院慰謝料とは、交通事故で怪我をして接骨院や病院に通院をした際に交通事故被害者に支払われる慰謝料のことです。怪我の程度にかかわらず、接骨院に通院した期間や日数をもとに計算され、通院が長引くほど慰謝料の金額は高くなります。

 

あまり知られていませんが、交通事故の通院慰謝料を算出する基準は1つではありません。実は3つの基準があり、どの基準を用いるかで通院慰謝料の金額は大きく変わります

交通事故の慰謝料を計算するための3つの基準
自賠責保険基準 法令で定められた最低限の補償
任意保険基準 自動車保険会社ごとに決まっている
弁護士基準 判例に基づいており、弁護士が用いる

自賠責保険基準とは…

自賠責保険基準とは、車を運転する人なら必ず加入が求められる「自賠責保険」により定められていて、加害者が任意保険(自動車保険)に加入していない場合に、この基準が用いられます。

法令で定められた最低限の補償をするための基準なので、3つの基準の中では最も低い金額の計算式となります。

自賠責保険基準での通院慰謝料は、日額4,200円を上限として決められています。

算出方法は…

・初診から治療終了までの期間
・実際の通院日数の2倍

上記いずれかの「少ない方」に日額の4,200円をかけて算出します。

交通事故でむちうちに。初診から治療終了まで約120日間。実際に病院に通った日数は75日。

この場合、「120<150(75×2)」となるので、120×4,200=50万4,000円が自賠責基準での通院慰謝料です。


任意保険基準とは…

任意保険基準は、自賠責保険基準ではカバーしきれない部分を補うためのもので、支払われる慰謝料の金額は保険会社や保険商品ごとに設定されています。

算出方法は自賠責と同じですが、

保険会社により日額が異なり、自賠責保険基準の1.3倍~1.5倍が目安となります。


弁護士基準とは…

保険会社から提示される金額に納得がいかない場合、被害者は弁護士に相談して、弁護士基準によって算定された金額をもとに交渉できます
他の基準に比べて高額になるケースが多く、最も低い基準の自賠責基準と比較すると、約2倍程の額になる場合もあります


通院頻度は影響する?

通院が長引いた場合でも、週に1回だったり、全く通院しない月もあるなど、その月によって通院の頻度が大きく異なる場合は、週に4・5回定期的に通院している場合よりも、慰謝料の金額が大幅に少なくなってしまいます。これは弁護士基準でも適用されてしまいますので、注意が必要です。

通院が不定期だと実際に通院した日数を3倍した数を通院期間とすることになっています。実際にどれくらい慰謝料に差が出てしまうのか、比較してみましょう。

通院頻度による慰謝料額の差
通院期間 7ヶ月 7ヶ月
通院頻度 週に数回、定期的に通院 不定期
通院日数 50~60日 35日
計算対象期間 7ヶ月 35日×3=105日=4ヶ月
慰謝料(弁護士基準) 97万円 67万円

このように、通院が不定期だと症状が軽いと見なされてしまい、後遺症が残ってしまった場合の後遺認定がされにくかったり、しっかり通院すれば受け取れるはずの金額と比べて30万円も少なくなってしまうので、むちうちの場合の慰謝料は通常の症状よりも注意が必要です。